紀伊の半島の真ん中にぽつんと開けた場所がある。 人里から隔離された熊野の地に神が降り立ったのは遙か昔のこと。その痕跡を感じ、残り香を感じるように人々は峠を越え、尾根を渡りここに参る。 過去から未来へ、人の生活は変わろうが、川の流れのようにな…
少しずつ雪が雨に変わってくる。三寒四温を繰り返し、すこしづつ雪が溶けて山潤み始める頃 朝、麓の石畳はまだ乾ききっておらず、山中は靄が漂っていた。見上げる先の果無峠はまだ白い雪に覆われている。 「蟻の熊野詣出」と呼ばれ、とぎれなくこの道を通っ…
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