■午後7時
濃いガスの中に静かに月が昇る。
残念ながら、山頂でのお月見は中止。
■午後9時
河童さんが言う。
風の流れが変わった、夜半にはこの雲も流れ去るだろう。
寒い。
もう少し待とう。
■午前0時
外をのぞいてみるが、まだ濃い霧に覆われたまま。
晴れてくれるのだろうか。
■午前3時
月が恋いしいのか自然に目が覚める。
静かに扉を開け、こっそりと外にでてみる。
流れる風は冷たく頬をぬらす。
ぼんやりとした月輪が顔を優しく照らしてくれる。
山頂に続く木道が青白くひかり、新たな世界へと私を誘ってくれる。
見上げる先には、光り輝く月が、待っていたよと、語りかけてくれている。
見事な丸いお月様が天の空にぽっかりと浮かんで、こちらを見つめています。
輝く夜の太陽は、山頂のしっとりと濡れた笹原を優しく照らす。
近くで鹿が警戒音をあげる。
剣の神様。すばらしい夜空をありがとうございます。
心置きなく月夜を堪能し、暖かい山小屋の床へ引き上げる。
ああ、いい一日だった。
布団に潜り込み、目を閉じてもしばらくの間、今目にしてきた光景が瞼に浮かぶ。
不思議な感覚です。