「檮原(ゆすはら)に一度帰ろうかと思ってますが、ご一緒如何でしょうか?」
一度訪れてみたいと、かねがね願っていたtochikoさんの生まれ育った、檮原におじゃま出来ることになりました。
どんな出会いが待っているのかな。
楽しみの散歩が始まります。
■神からの贈り物
数ある生き物の中で唯一、花の密を集め、貯蔵するという術を神から与えられた生き物。
野の花から気の遠くなるほどの時と労力をかけ、針の先の一滴を一心に集めた、輝く液体。
山の民は、古くからこの神聖な液体を、少しだけ分けてもらうという。
ちょっときてみてとtochikoさんに呼ばれて行ってみると、倉の横に仕掛けられた密箱の入り口に蜜蜂が群れている。
ちょっとした騒ぎが起きたよう。
この密箱は、下の家の「おんちゃん」が仕掛けている密箱から巣別れして来たといいます。
宴会の途中に、巣別れした蜜蜂の群をみたおんちゃんは、ぱっと箸を置き、「しまった、もう分かれたか!まだ、巣箱をきれいにしとらんかった!」とこの巣箱に飛んでいって、巣をきれいにしたところ、枝先に垂れ下がっていた蜜蜂の群が、引き寄せられるように入っていったという。
それはもう、びっくりするような光景だったそうです。
tochikoさんの故郷「檮原」は、四国、高知と愛媛の県境に位置する、山々に囲まれた土地。
そこは、森と生き物が暮らす世界。
森と人との狭間の世界。
少し油断すると、すぐに森に多い尽くされてしまう感じがするとtochikoさんが言う。
深い山里に育ったものの、実感だと思います。
小さな小さな人々の暮らし。
そんな暮らしを綿々と紡いでいらっしゃる深山に暮らす人々の暮らしを少しだけ。
ほんの少しだけ、体験させていただくことが出来た、檮原散歩です。m(_ _)m