午前中は晴れ。昼から曇ってきて夕方には一時的に雨が降るとなっている。
そんな比良地方の天気予報でしたが、山上は厚い雲に覆われている。
どんな一期一会が待っているのだろうと期待に胸をふくらませて歩を進めていきました。
■雲の中の風景
乳白色に包まれた景色。
いつも目の前にあるけれど、気にとめていない空気と水蒸気という物体が目の前を流れる。
そこに確かにあるけれど、決してさわることの出来ないもの。
手の間を優しく流れこぼれていく、その姿をひっそりとみているだけしかできない。
優しい雲に包まれた若葉達は、新たな力を得たかのようにキラキラと光り出す。
いきる力を蓄え、仲間たちと一緒に喜びの歌を歌うため。
ふっと目の前に明るいランプがともされた。
目を凝らすと、気位の高いお姫様がそっと佇んでいらっしゃる。
あちこちに大輪の花が薄暗い森をともしていく。
小さな明かりも忘れないでとクロモジは、小さな小さな、淡い黄色のランプをともしました。
わたしも。わたしも。
稜線に出ると、あちこちにタムシバのランプがともっている。
優しい灯がともされどこまでも私を連れて行ってくれる。
夢の世界へ、どこまでもどこまでも。