よく来たねと、青い鳥が出迎えてくれた。
雲の中の散歩となった春の比良。
気まぐれのように時折カーテンが開き、天から光が射し込んでくる。
光の先に目をやると、春の錨が投げ込まれ、小さな波紋が広がるところだった。
イカリソウ
天から沢山の錨が森に投げ込ませ、小さな波紋が重なり合い、響きあう。
やがて大きなうねりとなって、どんどんどんどんと広がっていく。
あたたかな春の浪は、新しい命の呼ぶ新たな声。
もう春だよ。
ねぼうしていた妖精たちが次々に目を覚ます。
おはよう。
イワウチワ
おはよう。
バイカオウレン
久しぶりだね。
元気にしてた?
森のあちこちで、小さな挨拶が交わされている。
雪が多かった、山にも遅い春がやってきた。