天から水が降ってくる。
とうとうと降ってくる。
開き始めた清らかな花に天の水が降り注ぐ。
暗い泥沼の中から生まれ出る蓮の花
天の水に命吹きこまれ花開く。
小さな女の子の、赤くふくよかなそのほっぺたを思わせる
初々しいその蕾。
そっとやさしく包んでみると、小さな鼓動が聞こえたよ。
小さく、しっかりとした息遣いが聞こえたよ。
ほっそしたとした蕾は、凛とした佇まい。
そっと耳を近づけてみると、中から小さな歌声が聞こえてきた。
キラキラとした歌声に耳を澄ましていたたら、いきなり強い風が吹いてきた。
あ、
美しいものは儚いという。
一瞬の夢。
一瞬の輝き。
初の始まりを告げる蓮の花。
儚くも美しい蓮の花。
谷から吹き上がってきた一筋の風が吹き抜けた。
振り返ると、一枚の小さな花弁の中に、水玉が乗っていた。
すべては、水からはじまった。