高松港から北に4キロの海を隔てたところに女木島があり、女木島から1キロの海峡を隔てて男木島がある。
波穏やかな海峡をイノシシなどは泳いで行き来し時折珍道中を見せるという。
男と女に例えられる島らしく、石垣の作りもそれぞれの島でとても違っていた。
女木島のむらは東の平地に立てたれ、高いオーテ(石垣)を築き、海風から家を守っていた。
■男木島
一方男木島は、傾斜地にすがりつくように家々がよりそっていた。
一歩足を踏み入れると、とても懐かしい時に迷い込んだ気がした。
そう、この景色は、私の父親の故郷と同じ景色だ。
瀬戸内の島で生まれた父の家はこんな路地の一番上の海の島々の景色が良い場所に立っていて、訪れるたびに船が行き来するのを飽きもせず眺めていた。
遠くで汽笛の音が聞こえた。