鳥居をくぐると空気が変わった。
一歩一歩階段をのぼるごとに、時を遡り過去へ過去へと登ります。
歩を進めるごとにだんだんと、匂いがこくなり
すこしづつ、気持が和らぎ優しくなるのに気づく。
はっけよーいのこった。
どこか遠くから、奉納相撲の声が聞こえる。
その昔、鳥居前の境内では、東と西の村からの力自慢が競い合ったという。
目を閉じる。
耳を澄ます。
風を感じる。
まっすぐの階段に一歩一歩足を出すことに集中する。
顔をあげると、大勢の石仏がこちらに向かって笑いかけていた。
ただいま。
帰ってきたよ。
一体一体に手を合わせ。
こころを開き、小さな囁きに耳を澄ます。
ここはそんな場所。