人がまだ自然とのつながりが深かった頃のこと
年も押し迫る12月20日になると、「果ての二十日」といって
人は家から出るのをためらったという。
昔々、大きな猪の主がいたそうな。
その主は、ある時狩人にしとめられてしまった。
その主はたくさんの、命を束ねていた森の主でもあったが
主がいなくなった森には、妖怪が現れるようになってしまった。
その妖怪は訪れる旅人を喰らい、森に近づけなくなった人々は
とても困ってしまった。
そこに一人の僧が現れ妖怪を鎮めたが、一年に一回12月20日だけは
この世に現れるのを許したという。
それ以降、ハテ(年末20日過ぎ)には、この日には山に入らないよう
言い伝えたという。
その日は、峠越えをする者がなくなった(ナシ)ということから、
いつしかこの国境の山々のことを、ハテナシと呼ぶようになったという。
妖怪が果無と大和国と紀伊国の分ける果無の山々には
そんな昔話がのこっている。
※果無の伝説を脚色しています。。