お昼時に空の上に荷を下ろし、あとはゆっくと過ぎゆく時に身を任せる。
ゆったりとした時間
空の上では、下界でとは違う時が流れる。
いくよ、瑞穂に声を掛ける。
静まりかえった山小屋をそっと抜け出す。
見上げると空には満天の星空が広がっていた。
空の上に来ると、日頃胸にためている思いや、考えていることが素直に口に出る。
散らばっていた思考が再構築され、頭の中がすっきり溶けていく。
後に残るのは闇の中に広がる星のごとく儚い夢のよう。
東の空から月が昇り始めた。
空の上では、目の高さに月が昇り、地球が丸いことを思い出す。
しばらく眺めていると、月明かりで空が明るくなってきた。
お月様って明るいね。
そうだね。
お日様が昇るまで一寝入りしようか。
お日様とお月様
決して顔を合わせることのない二つの太陽
人は二つのお月様を眺めて暮らしてきた
満ち欠けや、昇り降りを観察して、時を刻むことを編み出した。
時という概念が人を豊にしたのか
それとも不幸にしたのか
それをどう感じるのは、その人次第
人は常に何かを感じ考える生き物だから。