西熊の森の入り口は、歩きやすい林道から始まる。
四国は森の国、林業の国
森の奥へ奥へと、人は分け入り山と関わっており、そのおすそ分けを頂いている。
地からもうもうと白煙を上げる森は、私達を歓迎しているのか、遠ざけようとしているのかどちらなんだろう。
白煙の中に消えて行く、仲間たちを見て、ふっと心細くなる。
おいていかないで。
小さな子どこの頃の感覚が蘇る。
からからから。
風を受けた崖の上から何かが落ちてくる。
凍てついた氷が、キラリと光り行く手を阻み、先へ行くのを遅らせようとする。
トンネルの中はを時は決まり事を守らねばならない。
トンネルの中は半分地の中、闇が支配する世界。
決して、音を立ててはいけない。
そっと、向こう側へ足早に進むこと。
トンネルを抜けるとそこは、別世界
静かに、そっと、森の懐に足を踏み入れる。