のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

藁ぶきの家

ごめんください。

誰かいますか。

ごめんください。

何処から現れたのか、植物園の中に忽然と巨大な藁ぶき屋根の家が現れた。

懐かしいな。

子供のころ譲り受けた、畑の家は藁ぶき屋根の農家の家だった。

田植えや稲刈りの時に、家族総出で泊まり込んだ藁ぶきの家は、暗く独特の匂いがしてなぜか怖かった。

電灯がなく薄暗い家の中には、何かの気配がした。

そう。

そこには何かを感じた。

言い伝えられてきた妖怪や幽霊

ちょっとした音にも何かを感じて敏感になった

この家は、岐阜の白川郷の少し上流にある鳩ヶ谷ダムの底に沈む村から移築されたと聞く。

なんだか懐かしい匂い

なんだか懐かしい暗がり

観光地ではなく、ここにあるから

静かなにおいが感じられる

ここにゴザでもひいて今度は昼寝でもできるか

すーっと通り過ぎる風を感じながら