十字花が咲きはじめた。
日陰にひっそりと咲く、白い十字の花。
撫でると独特の強烈な匂いが漂う。
思わず子供の頃を思い出す、私にとってはとても懐かしい匂い。
小さな小さな白い硬い卵が、森の子守唄が聞こえると少しづつ衣を緩める。
まるで、産着に包まれた赤ん坊のような愛らしい姿。
この花がこんなにも美しいとは今まで気が付かなかった。
一枚一枚、ゆっくりとベールを脱ぎ捨てる。
まるで、森で白いバレリーナが踊っているようです。
深く優雅なお辞儀の挨拶。
会場いっぱいに割れんばかりの拍手が聞こえる。
ますますこの花が好きになりました。