この世と、あの世の見えない境界線がここの確かに存在する。
いっさいの生き物を拒絶するかのような荒々しい御嶽山
今まで歩いてきた優しく美しい御嶽の姿も
目の前に広がる、荒々しく厳しい御嶽の姿。
どちらも、同じ御嶽の山
時折、風の具合でイオウの臭いが漂ってくる。
そう、ここは、つい数十年前に、すさまじい爆発をおこした火山の山、御嶽山。
「噴火の地震はエレベーターが上下する縦揺れの用に揺れるんだよ。」
本当に生きた心地がしなかったと駒ちゃんが思い出したように言う。
怖かったね。
草木も育たぬ死の世界。
でもそんな、世界だからこそ、人は何かを感じ、この御嶽の山を崇め、畏怖を抱き、神を見いだすのだろう。