田植え前のあぜ
タンポポが風をまっていたが、お百姓さんがやってきて、きれいに刈り取られてしまった。
翌朝、夜露をいっぱいに受け止めた
まあるいまあるい、光の玉が草むらに横たわっていた。
タンポポだけじゃない。
命のわたげが、あちこちで風をまっている。
その姿をみるとこころがやわらぐ。
夏の匂いを含んだ強い風が吹き思わず目をつむった。
ギュッとつむった目を開けると、ぼく一人だけだった。
ノゲシが気になって通るたびに覗いていた。
ノゲシの綿毛はとても優しいことに気がついた。
とても柔らかそうでふかふかで頬でスリスリしてみたいと思わず思った。
そっと触れてみた。
あ。
風を待にのり、冒険への旅立ちを待つ子どもたち。
ふわふわふわ
ふわふわふわ
あっちでも、こっちでも
ふわふわと、大空にしろいたまごが飛び立っていた。