今日も太陽の神から月の神へのの交代の時が来た。
世界には、日が沈まぬ国もあるときくが、この地では一日の半分を日の神が支配し
もう半分を月の神が支配するという決まりがある。
遮るもののない山頂では、太陽の神と闇の神の交代を直ぐ側で感じることが出来る。
古来から山に神が宿といわれ、神聖なる地として崇められてきた。
そんな神の地で過ごすことが出来るのは本当に幸せなことだと思う。
風が止まった。
辺りは静寂に包まれ、はるか遠くで鹿の鳴き声だけが悲しげに響く。
さあ、ゆっくりと闇夜を楽しむこととしよう。
時間はたっぷりある。
本来、人は太陽の神もと生きる定めにある。
人は生まれると星になり、世をさる時に流れ星が流れると信じられてきた。
今日も一人、何かをやり遂げた命がこの世を去った。
夜半、太陽の神と入れ替わりに登った月の神も西に去る時が来た。
これからは、神のいない闇夜の世界。
無秩序が支配する世界。
三嶺が遠くとも強い街の灯りを遮ってくれる。
ここは闇夜の世界。
満点の星空が夜空にまたたく。
見上げると満点の星空
日頃は意識しない天の星
日の神や月の神や街の光とは相容れない星たちの姿があった。
星がこんなにたくさんあることを忘れていた
流れ星がこんなに流れることを忘れていた。
いつも私達の傍にあって気がつかない星たちの姿がここにあった。
本当は見てはいけない世界だったのかもしれない。
でも覗いてしまった。
感じてしまった。
日はまた上り、みな消えていく。
儚い星たちよ。
いつも空にありながら見えない星たちよ。
そこにあることを忘れない。