新年度を迎えるに当たっての準備に気ぜわしい気持ちと、地球全体に広がり始めた未知の病の蔓延の週末だけれども、何事も無いように、「くろんど」の山桜は今年も咲き始めていた。
冬ごもりから寝覚めの季節を向かえ、山が「あくび」をし始めたようだ。
山を眺めると、ぼんぼりの明かりが灯るかのように、ぽつ。ぽつ。と火が灯る。
春風がそよぐと、馬酔木の鈴つき。ちりちりとこだまし、春のお祭りの始まりを告げる。
山裾からミツバアケビが咲き始めた。
山頂にむかって、手拍子が響くき、大きくなっていく。
とんとん「春がきたよ」
とんとん「もう春だよ」
とんとん「もう起きる時間だよ」
とんとん「お日様が気持ちいいよ」
4月からは、この山ともしばしお別れとなりそうだ。
残り少ない、私市の里山の春を楽しもうと、くろんどの山に足を向けた。