バキバキと何かの音がした。
振り返ると巨大な爪をむき出しにしたやつがいた。
やつの足元を見ると、むくむくと何かが鎌首をもたげ始めた。
森の竜だ。
わ!
森の竜はみるみると空に向かって大きく広がり、ぱっとはじけてそこら中に飛び散った。
飛び散った森の竜のしずくが降りかかった木々たちは一斉に目覚め始める。
目覚めの連鎖は、とまらない。
次から次へとまたたく間に広がっていく。
命の連鎖が始まった。
全身に血液が流れ始め、力強く血の循環を始める。
あっらでも、こちらでも、森全体に血液が広がり始めた。
静かだった森が一気に動き始める。
もう誰にも止めれない、力強い営みが始まった。
森は生きている。
精いっぱい生きている。