その場所は
空と地の境目だった。
西の琵琶湖側から沸き立つ雲は、南北に走る稜線で受け止められるためか、稜線を境に西は雲の中。
東は雲の外と、雲の中に入ったり出たりと、歩を進める。
静かだ。
あおー、あおー
アオバトの声が霧の森に響きわたる。
こんな静かな森歩きは久しぶりだ。
天候は回復へと向かう予報の中。
雨がふれば、テントで停滞すればよいかと出てきて正解だった。
前日の青嵐に、芽生えたばかりの柔らかな青葉が引きちぎられていた。
それでも、木々は生きていくんだ。
4月にさざれ石公園から歩き始めたときに、出会ったフッキソウだ。
常緑のフッキソウもこの時期、若葉を茂らせているんだ。
楽しいな。
大体の時間を決めて、いけるところまで歩く。
ゆっくりと歩を進める気ままで静かな稜線歩の道は、遠くどこまでも続いていた。