しばらく続く、つづら折れの急登がつづいた。
「カナカナカナ」「カナカナカナ」薄暗い林にヒグラシの鳴き声がこだまする。
遠くからカエルの声が合わさり、時折、小鳥が歌を奏でる。
まるで森の演奏会に来たようだ。
ちょっと一休みして、森の演奏会を聴くことにした。
指揮者は、ピンと伸びた笹の新芽かな。
私の両隣で、一緒に演奏を聴くのは、おしゃれに着飾ったシダの家族
チリーン、チリーンと風に合わせて草むらから、頭上からと
いろんな音色の鈴が鳴る。
お、クラリネットやトランペットのような音が加わり、盛り上がってきたぞ。
目を閉じてしばらく、この演奏会を楽しむ。
様々な音色が混じりあい、絡み合う。
音楽に合わせて、誰とはなく踊りだす。
森の音楽界は、幕が開いたばかり。
普段は気が付かない森の音
目を閉じて、森の音楽を聴いてみよう。
きっと楽しい景色が見えてくる。