目覚めの森は、あちらこちらで素敵な光景を見せてくれる。
赤ちゃんが母親におわれ、こくり、こくりと夢の時と今を行ったり来たりしていた。
冷や!
葉やんまで降り続いた雨の余韻が残る林床。
白い幽霊がぽつりと落ちてきた雫に首をすぼめる。
なんだか空が明るくなったなと思ったら、いつのまにか植林の森を抜け、緑輝く落葉樹が多くなってきた。
ポトリ。ポトリ。
空から何かが降ってきた。
森の手紙「オトシブミ」だ。
きっちりと巻かれた、葉っぱの中には、小さな卵が一つ植えつけられ、地上に落とされていく。
ぽつり、ぽつりとオトシブミが道案内してくれている。
森の向こう。
地図を見ると、もう少しで稜線に出そうだ。
景色が変わってきた。