石をくりぬいた階段がある。
動力もなかった昔に、これだけのものを作り上げる忍耐
継続する力、信じる力は、ものすごい力を持っている。
室町の昔から、下界を見守ってきた社の主は森につつまれ、社は山と同化しようとしていた。
センチコガネは、キラキラと光り昔も今も訪れる人を黙って出迎える。
白山社奥宮をすぎる、大きな木の根にぶら下がるようによじ登ると、森の景色が変わった。
そこからは、今なお神が住む世界だった。
ケケケケケ、ケケケケケ
侵入者への警告するように、アカゲラが、けたたましく威嚇してくる。
ごめんね。
すぐに通り過ぎるから。
春から夏へ、華やかに飾った森の花は、次第に森に溶け込み始めていた。
頭上ではツツジが。
地面ではスミレが。
チリン
涼やかな風鈴が風に揺れた。
風越山の山頂は、笹が茂るが明るいとても気持ちの良い場所だった。
素敵な森だな。
自分の体も森に溶けていく感じがした。