川沿いの公園の片隅に一夜の宿を借り、夜明けとともにテントを畳みハンターのセルを回す。
秋から冬への変化を探しに、御嶽山系阿寺山地にそびえる小秀山を訪ねた。
標高約900mにある登山口の早乙女渓谷キャンプ場は9月末で営業を終えていた。
ひっそりとした渓谷の木道をゆっくりと進み始める。
このあたりの木の葉は、わずかに色づき始めたばかり、小秀山の山頂は1982mどのあたりから色づきが見られるようになるのか楽しみ。
谷の底は朝が遅い。
鳥もまだ眠りから覚めていないのか、それとも日が差し込む天頂で囀っているのか
渓谷は沢の音と自分の歩く足音だけが響くだけ。
足元に小さな紫色の実が落ちていた。
上を見上げると、紫式部が小さな小さな実をつけていた。
一時間半ほど歩くと、落差80mの夫婦滝がその姿を現す。
ちょっと一休みしていこう。
とうとうと流れる滝は、冬季全面凍結しアイスクライミングが楽しめるという。
さていくか、木道はここで終わりを遂げ、さらに急登となり、ぐんぐんと高度を上げていく。
男滝の上に出た。
ぽっかりと空中に開いた空間に水がどんどんと吸い込まれていく。
何もかも無限に吸い込んでしまうという、ブラックホールのようだ。