暦は霜降に入り、先週末に小屋締めとなった白山は、週末に初雪が舞ったと聞く。
あとひと月もすれば里も雪で覆われていき、ハンターカブで通うも困難になってくる。
田畑も収穫が終わり、感謝の祭囃子が聞こえてくる。
今回は、南西の登山道である、上小池から歩き始め三の峰を目指すことにした。
今年のGWに訪れたときにはまだ雪に覆われ、通行止めとなっていた道、あそこで雨宿りしたななどと、再訪する道は地形が分かり道が近く感じる。
おや、ハチの巣だ。
スズメバチが枝にぶら下がっている。
軒下や木の幹にあるんはよく見るが、細い枝にあるのは見たことがない。
風雨を絶えたハチたちの家は、にぎやかな季節を終えていた。
春、通行止めだった鳩ケ湯温泉を通り過ぎ「打波川」を遡っていく。
三ノ峰を源を発し、ほぼ直線状に南西に流れ下っている。
これは、鳩ケ湯断層と呼ばれる、長さ約14kmの活断層に沿って谷が形成されたためだという。
断層の谷は、大量の岩塊や土砂によって谷が埋められた後に打波川の強い流れによって浸食されることを繰り返しできていったと考えられている。
耕作に適した土地が少なかったこの地の人は、春に山に入り、出作り(でずくり)という小屋を建てて移り住み、焼き畑で作物を育て、秋に収穫し村に降りるという生活を長く続けていたという。
長く続いた最深部の人々の暮らしは、昭和36年(1961年)に起きた「北美濃地震M7.0」の際に、この鳩ケ湯断層が活動、さらに一か月後には台風(第二室戸台風)に襲われ、集落は壊れ人々は移住を強いられたと聞く。
道端に、かすかに人の匂いを残すかけらがぽつりと残っていた。