白瀬峠を下り真の谷に下ってきた。
この先は地図では破線の道となりこのルートを通る人は少ない。
御池岳直下東側の谷は、上空を飛び交う強い風は届かず、ひっそりとしていた。
テント場には伏流した水も流れており、とても良い場所だ。
水があるのはとても助かる。
一つ、また一つと素敵な場所が見つかる。
秘密の場所がまた一つ増えた。
薪を集め少し温まろう。
湿った気はなかなか手ごわい。
細かい木の枝は見守っていなければすぐに燃え尽きる。
そうこうしているうちに、ぱらぱらと粒のような小さなつぶてが降り始めた。
仕方がない、火遊びはここまでとしよう。
テントに潜り込み、手に入れたKindolを開いてみる。
今までどうかなとちょっと手を出さないようにしていたが、新型が発売され一世代前の、小ぶりの旧型が手ごろな価格になっていたのと、青空文庫もなかな面白そうなことを再認識したので、テストしてみることにした。
山で手軽に小説を読む。
コンパクトで軽量、電源も数週間持ちまったく気にすることなく、暗闇でも読めるKindolはなかな良さそうだ。
谷の上空は深夜まで強風が吹き荒れる音が続いていた。
明け方になり静かになったころ、テントから空を覗くと星が輝いていた。
明日はよい天気になりそうだ。
日帰りでも十分に行ける山域にテントをもってゆるりと分け入る。
ゆっくりと空を見ながら思案する。
そんなことが出来るテント泊が最近のお気に入り。