大きな杉の木だ
千草街道と呼ばれたこの道は、古くから伊勢と近江を隔てる鈴鹿山脈を越える重要な街道の一つで、炭焼きの跡や鉱山跡など人の暮らしの痕跡があちこちに残っている。
おや、なめこがある。
びっしりと秋のごちそうが並び始めていた。
人が多く暮らしていただけあってか、栗の木や栃の木などが沢沿いの道に点在する。
この森も今年はなり年かな。
しかし、この山域も近年の鹿の食害で下草がまったくなくなり、
残っているのは、鹿も食べないトリカブトなど一部の植物などで
残念ながら草本の植物を楽しめる環境ではなくなっていた。
それでも、キノコたちはきちんと森の循環に一役を担い、懸命に森を耕している。
長い目で見れば、ゆっくりと移り変わり
また、いろんな植物や虫たちがあふれる森になるんだと思う。
ピー
ぴよー
鹿の警戒音が谷にこだまする。
入ってくるな。
わしらの森だぞ。
そんな声が響き渡った。