丘に上がるとどこか懐かしい景色が広がっていた。
バイクを止め、水筒の中に入れてきたコーヒー取り出し一休みする。
旅するとき、先を急ぐのではなく
ホッとする場所ではゆっくりと過ごすようにしている。
参道の両方が畑となっている向こうに
山寺への山門があった。
腰の曲がった老婆と目が合い、にこやかに挨拶をする。
しばらくして、お爺さんがやってきて、丘の上で並んで休んでいた。
ゆっくりした時が流れる場所だった。
早咲きの桜か
村を見渡す丘の上に大きな桜の木が佇んでいて
人がいなくなった家の道傍には
大きなカヤノキが枝を大きく伸ばしていた。
道の傍らの菩薩様は
ゆっくりと緑の衣に包まれ始めていた。