のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

夜空に輝く枝垂れ桜

春分の日を過ぎて、日一日と夕暮れが遅くなってくる。
黄昏の枝垂れ桜を楽しむことができるのも、夜間開園があればこそ。
白い花びらのレース状のカーテンが時折吹く肌寒い風にたなびく。

夜の帳がおり、闇が桜山を包み始めるとどこからともなく、切ない三味線の音が響く。

天の川から流れでた絹のような繊細な織物が夜空に流れだし、夜空いっぱいに広がっていく。

気がつくと満点の星空の如く、空が桜の花びらでうめつくされる。

ああ、美しい。
昼間のほんわかとした桜も素敵だが、夜の輝く桜もなんとも言えません。

来園者のため息があちこちから聞こえてくる。
草むらに寝っ転がって、存分に楽しむことができるのが、私市植物園ならではの醍醐味。
7時を過ぎた頃から来園者もまばらになり、この夜空を独り占め。

この私市植物園も、効率化の波に翻弄されているとのこと。
末永く続いていってほしいと切に願います。