秋雨降るくろんどの森
小さな蛾が飛び回る。
毎年この季節になるとこの風景を見ているのを思い出す。
なんという蛾なんだろうな。
ふと足下の草むらをみると、小さな蜘蛛の罠にかかっている一匹
たった今、絡まってしまったようです。
もがけど、もがけど、捕らわれた網から抜け出せない。
蜘蛛は自分より大きい体の蝶をどうするのか。
まず、片方の羽の周りを糸を出しながらくるくると回り絡めていく。
何周か回るとだんだんと蛾の羽が筒状に畳まれていく。
羽ばたくことができなくなり、だんだんと蜘蛛の巣の揺れが収まり
風に揺れるだけとなったところで、もう片方の羽も同じように畳み込んでいく。
ここまでくるともう、為すすべもない。
それが、自然の自然の摂理。
足元には、狂い咲きのスミレが咲いていた。