のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

霜月最後のイブネ 森に暮らす者たち

サクサクと言う小さな足音が聞こえる。

テントのすぐそばまで地数いてきた。

なんだろうじっと耳をすます。

音が止まった、こちらの気配に気が付いたか、音はそこで消えた。

沢の音だけが聞こえる

パラパラと氷の塊がテントに当たる音

時折強い風が吹く。

風が迫ってくるのが分かる

冬の長い夜が更けていく。

半月に照らされる森は明るく、ライトをつけなくとも森の中を見通せる。

不思議な世界がそこに広がっていた。

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朝、降り積もった雪の上に残った動物の足跡をたどり森の奥へと入っていく。

昨夜さまよっていた動物の足跡だろうか。

人は道具がなければこの雪の中で一夜すら命をつなぐことは厳しいが、動物たちは自ら命をつなぐすべを持つ。

すごいなと、つくづく思う。

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谷向こうの山に朝日が差し、雪に覆われた林が輝き始めた。

さあ、あの森へ行ってみよう。

かつてこのあたりの森は、鉱山跡地ではげ山になっていたといい、

今は二次林が美しく広がり独特の景観を作っている。

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太陽の光が森を照らし始めると、一斉に雪が解け始める。

ぽたぽたと雫を垂らし、どどっと枝から落ちていく。

キツツキやカラ類も一日の始まりを喜ぶように飛び回る。

朝が来た。

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おや、枝先に小さな蛾がしがみついている。

よく見ると首元に暖かそうな襟巻きを纏っている。

必死に昨日の吹雪を耐え抜き、一日を生き延びたようだ。

頑張ったね。

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当初予定では、このあたりでテントを張る予定だった御池鉱山跡地にぽつんと、看板が立っていた。いまは訪れる人も少なくなり、子供たちの声も聞かれなくなった奥山の鉱山跡地。

石で組まれた階段や石垣がかすかに当時の面影をしのばせていた。

「この地域には向山・御池・国位・高昌・大蔵の鉱山があり、主に銀・銅を採掘していた。明治末期の全盛期には300人余りが働いていたという。この辺りに金山神社や高昌尋常小学校の跡地も残る」

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さて、杉峠まであと25分とあるが、ここから少し急登となり道も狭くなる。

足を取られないよゆ注意して先に進むことにしよう。

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