嵐が去った朝、囀り始めた森の小鳥の声に催促され、テントから顔を出すと、
青空が広がっていた。
いい朝だ。
よし、予定通り沢を詰めていって、御池岳に登ることにしよう。
天から日が降りてくる。
谷あいの風景だ。
山頂から眺めると日は登るものだが、谷あいでは天から日が降りてくる。
キラキラと輝く光に静かに包まれていく。
雪の上に先行する小さなリスの足跡が案内係だ。
貯蔵庫に隠した食料を探して歩いているのかな。
小さな足跡が、谷底に沿って続いている。
ここだな。
地図と赤テープ、GPSを見比べて左の谷に入る。
岩だらけの谷を登っていけば、御池岳の通常の登山ルートに出るはずだ。
昨日はやはりこの道を下らなくてよかった。
登るのは簡単だけど、下るのは注意を要する。
初めて御池岳に訪れたときもこの谷に下ろうとして道が不鮮明でやめたことを思い出す。
おやこちらは狸かな。
タヌキは前足の上に後足が重なるように着くので、二個が若干ダブッていたりする。
いろんな生き物たちた森をさまよう。
その痕跡がたどれるのも冬の山の楽しみの一つ。
こっちは兎さんだね。
足跡が特徴的でこれは上から下に降りてきてる感じです。
前足が縦につ、横に並んでいるのが後ろ足
ぴょんぴょんと飛んでいく。
少しすると今度は鹿の足跡だ。
2本の蹄が特徴です。
体重も重いので、雪に深くめり込んでいる。
んん。
これは何だ。
雪の森の足跡探し。
楽しい朝の散歩、登山道からちょっと外れた森の中は楽しい足跡がいっぱいだった。