岩穴からのぞく空はどんよりと暗い。
雨粒が岩を伝い、ぽとりぽとりとしたたり落ちてくる。
目を凝らすと岩棚の奥に不動妙王が鎮座する。
共に雨音に耳をすませると今まで聞こえてこなかった
森の声が聞こえてくるような気がする。
ゆっくりと岩陰で雨宿りを楽しもうと思ったがこの雨では難しい。
ガスの掛かり始めた谷あいは、闇の世界に引きづり込まれてしまうかのような錯覚に陥り、
ふっと恐怖心が頭をよぎる。
恐怖とはなんだろう。
見えないものに恐怖を感じるのでしょうか。
雨の中、ツチグリの不思議な姿が目につきます。