卵の色
卵の色は個性なのかと見ていると、どうも違うみたいだ。
卵は白色から、真珠色に変わり、そして黒色に変化していた。
そうか
この小さな小さな丸い、触れることさえためらわれる卵の中で
命が息づいている証拠なんだ。
産み付けられたばかりの、透き通った風が吹くと葉っぱから零れ落ちそうな球体
小さな命が生まれ始めている。
細胞が一つ、一つ分裂するごとに、意識がはっきりしていく。
意識の濃さが増すごとに、無色透明だった卵に色が宿る。
命作られる
次第に意識が覚醒していくのを感じる。
無から有が生まれた瞬間だ。
生き物は生まれる時、何時から意識を持つのだろう。
目の前で変化していく卵を見ながらそんなことを思った。
黒色の卵からはもう少しで小さな幼虫が出てくると思う。