宙に近い山の上は、深夜から雲に覆われはじめた。
日々繰り返される現象は、その場所に根を下ろす者たちを構成する要因となっていく。
淡い雲の霧に音は吸収され、朝食を探し始めた小鳥たちの声がことのほか大きく聞こえる。
遠くからキツツキのドラミングの音も聞こえ始めた。
アカゲラか。
おしりが真っ白のシカが、ピー警戒音を発す。
この雪山中で身一つだけで生き延びる。
生き物ってすごいな。
高度を下げていくと、だんだんと視界が晴れてきて、雲の下に出た。
今日は木和田の尾根道を下りることにしよう。
降り口はだいぶ雪が残り急斜面
注意していこう。
伊勢の海に、日が照り始め次第に色彩がはっきりしてくる。
夜から昼
冬から春
これから森は様々な色があふれてくる。
今年の春は、そんな色を追いかけてみようかな。