のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

カシノナガキクイムシの展示を見て感じたこと

数年前から、交野の里山では立ち枯れの気が目立ち始めていた。
なんだろうと思っていたら、その原因は、カシノナガキクイムシだという。
ここまでは、知識として知っていたのです。
カシノナガキクイムシの絵も、私市植物園の立て看板に漫画を
描いてくれているので、この虫がね。
と、頭では見ていた。

そのカシノナガキクイムシの標本が、私市植物園の事務所に顕微鏡と一緒に
置いてあったので、覗いてみた。

そもそも、顕微鏡で覗くような小さな虫なの!?
とまずはそのことに驚かされたのですが。
ちっちゃ。

こんな小さな虫が、あの硬い木に穴を開け、木を枯らす原因となる
病原菌(ラファエレア菌:ナラ菌)を持ち込んでしまうとのこと。
 オス
ただ、それは一匹の力ではなく、集団のちから。
オスがフェロモンで多くの仲間を呼び寄せ、集中的に穿孔
 メス
メスの背中の穴の部分に、ナラ菌が潜んでいて、その菌はキクイムシたちが活動する
水分を木全体に吸い上げる樹皮の表面部分の組織を大量に壊死させてしまい、
結果、木は水分を十分に吸い上げることが出来なくなり立ち枯れてしまうという。

交野の山で起こっていること。
それは世代交代なのかもしれない。
かつて戦時中、燃料確保として付近の山は禿山となったと聞く。
今は、コナラ類が沢山生えた山となっているが、何かのバランスが悪いのかもしれない。
故郷の山が、松枯れで枯山となったように。
でも、それは数十年単位の波の一部
元に戻ろうとする、目に見えない流れの一部なんだろうな。