雲を抜けると、湿地帯に入った。
ちょうど2000m前後の亜高山帯に位置する、高層湿原が広がる。
もう梅雨明けかな。
空の雲と、台地が同じ目線の台地には、夏を思わせる雲が沸き立ちはじめていた。
高地であるがゆえ、微生物の分解が進まず独特の植物が生育すとともに、不思議な風景を見せてくれるという。
コバノトンボソウ だ。
ピョンと尻尾をあげた姿は、まことにトンボに似ているや。
おや、かわいらしい風車が風に回る。
くるくるくるくる、風に回る。
気持ちがいい。
木道沿いのベンチで横になって、空を見上げてみる。
静かだな。
目を閉じると、大空を舞っている鷹が、小さな自分を眺めているのが見える気がした。
人って、ちっぽけだな。