交通量の多い一桁国道から海沿いの道へ避けて走ると
瀬戸内の穏やかで優しい海が広がる。
子供のころは、この海がこんなに優しい海だとは感じなかった。
素朴で、愛らしい。
そんな狛犬さんがいる場所でもあった。
よう来たね。
おかえり。
なんとなく、そう聞こえた。
安芸津の海まで出ると、暮れ始めた空に万の字が輝き
何処からか盆踊りの音楽が聞こえ始めてきた。
子供のころ、盆に祖父母の住む港町に親戚中が集まるのが習わしで
楽しみだったのを思い出す。
そして、楽しかった帰り道に車の窓から盆踊りの音楽が流れ
提灯に照らされながら皆が踊り円を描いているのを眺めていた。