腰を落ち着け琵琶湖に落ちる夕日を眺める。
ゆるやかに流れる風の音
森から森へとこだまする鳥の声
影が長く伸び影法師となる。
あ、誰かに影を踏まれた。
影に踏まれると、別の世界に迷い込む。
そんな話を聞いたことがある。
影を踏まれると、どこへ行くのだろう。
ここはどこ。
どっちに行けば帰れるの。
周りを見ても誰もいない。
急に心細くなる。
しばらくして影は消えた。
もう大丈夫だ。
日が沈んだ。
急にあたりが暗くなり、気温が下がってくる。
見上げると、天の月がこうこうと輝き始めていた。
明るい。
月は本当に明るい。
私たちの祖先は長い間、月を暦に使っていた。
それは、まぶしすぎず、優しい光だからかもしれない。
ふとそんななことを思った。
夜半、乳白色の世界に包まれた。
また、どこからか何者かがやってきて、誰かを探し始めた。
こっちだ。
こっちにこい。
誰かが手招きをして私を呼ぶ。
あいつについていってはだめだ。
帰れなくなる。