巨大な岩石を積み上げて谷を埋める。
日本初のロックフィルダムは、空に向かって大きく手を広げている。
人がこんなものを作れるのかという不思議な感覚をうける。
ダムの上流側には満々を水がたたえられ、湖底に村が沈んでいという。
電力を水を求め、日本各地に巨大なダムを建設してきた。
私たちはその恩恵を受けて暮らしているが、湖底には多くの人の暮らしの匂いが沈められている。
人は湖岸にそっと立ち手を合わせる。
先祖から受け継がれてきた大切な大地
大地には神が宿り
神とともに暮らしてきた記憶
祭りがあり、笑いがあり、涙の思い出がある。
どんな村だったのかな。
ともすると、始めることは優しいが、
繋ぐことはとても難しい。
人から人へ、親から子へ、子から孫へ
心をつなぐのはとても難しい。
何が残るのか、何が消えるのか
稲を植え、稲を刈り
土地に根差し、集まり互いに協力し残したいものがここにある。
今、人はそんな姿に心惹かれこの場所に訪れる。
キュルルルル
キュルルルル
アカショウビンの声が谷にこだまする。
時間を逆回しにするように。
今と昔が混ざり合う場所
時が混ざり合う不思議な場所