のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

続く道

天井から谷に下ると、周りはまた雲の中に入り始めた。

段々と視界が薄れてくる。

地図には「迷」マークがある。

確かに、霧に閉ざされると方向感覚を失い迷いやすいと思われる。

こういった道では注意が必要で、分岐毎に進行方向と現在位置をこまめに確認していく。

いっとき、視界を遮った乳白色の雲は、次第に流れ去り

その向こうにそびえる山容が姿を現し始めた。

そして、御前峰に到達すると同時に一気に晴れ渡った。

眼下には、室堂の赤い屋根が見える。

雲のじゅうたんははるか向こうまで続いている。

一期一会

これも登山の醍醐味だと思います。

さあ、ゆっくりと下っていこう。

事故は下りで多い。

足元に注意しながら下っていく。

登山を始めた頃は、膝や股関節が痛くなっていたものだけれど、

最近はほぼどこも傷まなくなってきた。

やぱっり、人間歩かないと駄目だな。

室堂を過ぎ、来た道を下っていく。

白水湖が見えてきた。

あの場所まで3時間ぐらいか。

楽しみながら下っていくことにしよう。

不思議なことに、通う旅に道が近く感じる。

この感覚ってほんとうに不思議だ。

今日は三方崩れ山もよく見える。

気持ちの良い天気だ。

この山は冬しか行けないと聞く。

右側に見える崩れたところまでは道があり、以前一度訪れたことがある。

あの尾根を下った先が南竜だな。

振り返ると昨日通った道がつづく。

通った道が頭の中の地図になり、記憶として再構築されていく。

面白いもんだな。

花々も一緒

名前を呼んで、知っていくと、なんだか仲良しになった気がする。

さあ、半分まで下りてきた。

木陰で一休みしていこうかな。

もう少し。

またくるね。