標高1500m前後の開田の登山口からしばらくは、苔で覆われた森が続いていた。
ゆっくりと静寂の森を楽しみながら足を進める。
森を抜け稜線に出、左右に明るい空が広がり始めると、森が明るくなり林床の様子が変わってきた。
森はどこまでも続く。
開田道は距離は長いが、7合目避難小屋跡までは、なだらかな御嶽の裾野をあるき、息が上がることもなく、存分に森歩きを楽しめる。
それでも次第に、シラビソなどの亜高山の針葉樹林帯の中にまばらに、広葉樹が混じり始め、樹高も徐々に低くなり始めてきた。
目をつむり、ぐるっと一周回転してみた。
色づいた草のじゅうたんが広がり、絵画のなかに迷い込んだようだった。
様々な色がまじりあい、溶け合っている。
これは、ここにいる木々たちにしか表現が出来ない芸術
思い思いに体を、腕を掌を、指を延ばしくねらせ踊りを踊る。
空から降り注ぐ光はまだ夏の匂いを残していた。
空からの光がさんさんと名残を惜しむかのように、光のシャワーが降り注ぎ
色づいた木々の葉を照らしていた。
空が開けた。
7合目の避難小屋跡とある。
少し休んでいこう。