のろやま

身の回りの小さな発見と驚きを見つける旅に出かけたい

山-鈴鹿

小雪の御池山 コグルミ谷

御池岳への登山口に通じるR306は例年12.月初旬~3月下旬冬季通行止めとなる。 国道管理事務所に電話してみると、今年は12月中頃だと思われるが正確には決まっておらず、現在は問題なく通行できるとのことで、師走最初の遊山は冬季の下見もかねて御池山へ決め…

霜月最後のイブネ 下り道

日が高くなるにつれ、枝の先から零れ落ちていく。 ぽたぽたとしづくになって雨になる。 まだ、十分に冷え切っていないのか下る道は落ち葉の布団が現れ始めていた。 日向と影とを繰り返しながら、足元に気を使いながら道を下る。 標高1000m少しの鈴鹿の山々…

霜月最後のイブネ 不思議な場所

はるか彼方に伊勢の海がきらめく。 日の神様がおわす海がきらめく。 イブネ そこはどこまでも続く空への大地だった。 風が駆け抜け、何物をも拒む空の大地 そんな場所がどこまでも続いていた。 凍てつく氷の大地は、日の光も寄せ付けない。 太陽と氷がせめぎ…

霜月最後のイブネ 一本杉立つ峠道

凛とした立ち姿一本杉が見えてきた。 手持ちの古い登山ガイドの写真を見ると、一本の槍にはまだ枝が残っているが、その姿は骨だけとなっていた。 杉峠に立ち数百年の時を見守り、多くの人の行き来を見てきたであろう一本の大杉は静かに眠りにつこうとしてい…

霜月最後のイブネ 森に暮らす者たち

サクサクと言う小さな足音が聞こえる。 テントのすぐそばまで地数いてきた。 なんだろうじっと耳をすます。 音が止まった、こちらの気配に気が付いたか、音はそこで消えた。 沢の音だけが聞こえる パラパラと氷の塊がテントに当たる音 時折強い風が吹く。 風…

霜月最後のイブネ 天幕を張る

今年の初雪を楽しむ。 何もかもを覆いつくしていく白い粉 美しくも生には厳しい世界がこれから始まる。 木々は頭を垂れて天にお辞儀をする。 これより先は、真摯に物事と向き合うことが大切だと言っているかのように。 春夏秋冬 新緑から深緑 紅葉から枯葉色…

霜月最後のイブネ 雲の中へ

霜月最後の週末は寒気が迫りあちこちで、冠雪の予報が出ていた。 北の恵那山当たりに向かうか、西の鈴鹿にするかと迷ったが 北は雷を伴って荒れることがあるという。 また、バイクで移動をメインにしているため、降雪は辛い。 地図とにらめっこして、鈴鹿の…

優しい時間

雲との境目 段々と霧が薄くなってくる。 誰もいない道を楽しみながらゆっくり、ゆっくり下界へと降りていく。 朝の空気はひんやりと気持ちがよい。 朝日とともに、朝食に出かける鳥たちの声が谷あいにこだまする。 ケケケケケ アカゲラのつがいが楽しそうに…

霊仙山「山の匂いが変わる時」

昼間は登山客でにぎわったであろう人気の山域も、登山口で準備をしているときにすれ違ったグループで最後だったようで、山には静寂が戻ろうとしていた。 太陽が次第に西に沈み、空気が冷えてくると、森の気配が変わる。 山で暮らす者たちの気配が濃厚になる…

山笑う

山笑う 日本大歳時記(講談社版)には「出典は中国宋代のころの禅宗の画家郭煕『春山淡冶たんやにして笑ふが如く』にあるという。『冬山惨淡として眠るが如し』に対比される形容で、絶妙の喩たとえである。褐色の生うぶ毛げに蔽おおわれたような早春の山々の…

竜ヶ岳「風のこと」

急坂を上りきると、眼下に伊勢湾が広り、南に向けて鈴鹿山脈が延々と続く景色が目に飛び込んできた。 そして、立つ場所は竜ヶ岳につづく道は、なだらかな笹原が続く。 やっぱり稜線は強風が吹き荒れている。 出来れば、新緑のころ一泊してみたい場所、「セキ…

竜ヶ岳「石榑峠のこと」

春嵐が通り過ぎた翌日は、晴天だが風が強い。 こんな日は、低山の森の中がいいんだろうけれど、もう一つ行ってみたい所があった。 ■いなべの山々 鈴鹿北部の「いなべ」界隈は、右から左に向かって藤原岳、銚子岳、静ケ岳、竜ヶ岳と続く。 ■竜ヶ岳(1099.5m)…

空を見上げる

今年に入って通い詰めている鈴鹿の北部山域 雪が解け、春がどんどん近づいてきた。 寒さに凍えていた木の芽が、お日様に照らされてほころんでくると 人の気持ちもほころんで、笑い声が聞こえてくる。 山を歩くようになって、季節の移り変わりをとても強く感…

藤原岳「孫田尾根の道」

藤原岳に登るのは、表道(大貝戸道)と裏道(聖宝寺道) が一般的で、これまでは電車の便の良い表道をこれまで登っていたが、この日は孫田尾根を歩く。 大貝戸道の大体二倍と距離は長いが、自然林が多く人も少ない。 地図でも点線の道で、看板にも難路とある…

藤原岳「雪解ける」

花の百名山「藤原岳」の春がやってきた。 一年で一番賑やかになるという。 おや。 登山道の岩の間から、ひょっこり顔を出したのは、「ヒロハノアマナ」 葉が広く、中央に白い線があり、苞(ほう)が3つある。 球根は甘く、食用にもなるという。 今いる場所…

藤原岳界隈「雪解け始める」

春が駆け足でやってくる。 一週間の間に雪はこんなにも減るものなんだ。 馬酔木(あせび)のつぼみもほころび始めていた。 もう春だよ。 そろそろ目覚めの季節だよ。 冬枯れの林は、淡い黄色の花火で目覚め始める。 そんな山の声に呼応するように、目覚めの…

藤原岳界隈:迷い込む

まぶしい光に木々照らされ、大気には霞がかったような景色が広がる。 山は眠たげな眼差しを、こすりながら、大きなあくびをし始めたようだ。 山があくびをし始めると、生き物たちも呼応するように動き始める。 マンサクの花は黄色い花火を青空に打ちあげてい…

藤原岳「天上の雪原」

歩き始めて3時間弱 天上に雪原の大地が広がっていた。 なだらかなアップダウンの起伏 どうするかな。 今日は、普段なら足を踏み入れることが出来ない森の中を気ままに歩いてみることにしよう。 スノーシューをもってきて正解でした。 野兎の足跡を追って、…

藤原岳「大地の贈り物」

もうすぐカルストの大地に出る。 振り向くと養老山地の向こうに濃尾平野が広がっていた、 藤原岳は石灰の山 はるか昔の海の底からせり出してきた大地 かつて生きていた者たちの命の上に便利な生活をいただいている私たちがいる。 削られている山を見てそう思…

藤原岳「寒波の連休」

週末のセントレアから見る対岸の鈴鹿山脈の山頂付近は白いベールをかぶっていた。 週末の天気予報は日本海側を寒波に見舞われるとのこと。 東海地方はどうなのかと思っていたら、こちらまで雪雲は超えてこないようで土日ともに晴天に見舞われた。 久しぶりの…

ダイモンジソウ

おさるさんの手型、足型 ちっちゃいね。 小指の先ぐらいの大きさです。 指は長く、親指のところが大きく開いている。 見上げると、「ダイモンジソウ」が青空に大きく背伸びをしていた。 おさるさんも、この花を見にきたのかな。 ◆ダイモンジソウ ユキノシタ…

初夏の伊吹山「雲現る」

雲が出てきた。 地表から空に向かって100m上がると約1度、気温が下がるという。 今度温度計をもってきて、確かめてみようかな。 地が温まると、空気が動く。 空気が動くということは風が起こる。 山の斜面に沿って空気が昇ってくると、高度の上昇ととも…

初夏の伊吹山「あれこれ思いながら歩く楽しみ」

伊吹山は、3合目と頂上付近にお花畑が広がっている。 頂上まで駐車場で行けるため、3合目のお花畑のほうがのんびりして散策には気持がよい。・ユウスゲ 昨夜の雨もやみ、山頂にかかった雲も取れ始めた。場合によってはこのたりでのんびりと昼寝して過ごす…

初夏の伊吹山「タイムマシン」

週末、降り続いた雨が止んだ梅雨の間の晴れ間の休日 初夏の伊吹山を訪れた。 朝一番のバスで登山口につき、ゆっくりと上り始める。 登山口あたりは、都会で半月~1月ほど前に見られた草花たちが今は盛りです。 山に通うと、春は時間を巻き戻し、秋は未来の…

臆病であれ

いつもお世話になっている、河童さんから、こんな不安定な日にテン泊とは、今度会ったら説教だな!とおしかりを受けてしまった。 ■猿板より引用 西日本は高気圧に覆われるため日差しの届くところが多くなるが前線がやや北上すると思われる。 ◆空を観るこの日…

皐月の季節「四方に伸びる道」

のんびりということもあるけれど、少しでも地元にという気持ちもあり、今回はロープウェイを利用してみようと思ったのですが、初めて訪れる湯の山温泉は、なかなよい雰囲気の佇まい。 こんどはゆっくり温泉にでもつかりに来ますね。 ロープウェイに登場する…

藤原岳「春の気配」

8合目を過ぎると、自然林が目立ってきた。 石灰岩の山と言われるだけあり、痩せた道が続く。 山の反対側は、トラックがジグザクと上がる道が刻まれていた。 人は地球の贈り物を受け取り、暮らしているんだね。 大切に使わないといけないと思う。 うっそうと…

変わらないもの

緊急事態宣言も徐々に解除され、コロナの罹患者数も落ち着いてきた。 県外への移動はもう少し我慢しようと、近場の鈴鹿山系の藤原岳に出かけてみた。 登山口横の社に朝のお祈りに行くのだと、年老いた老婆は身振で教えてくれた。 行ってきます。 前から訪れ…

思うこと

自然保護、環境保護というけれど、どれだけの人が、 守りたい者を具体的に意識しているのかな? 本を読むだけ、人に聞くだけの知識ではなく、五感で感じ 実感しないことには、机上だけの空論になりはしないのかなと 思うときがあります。 何を大切にして、何…

御池岳「スプリング・エフェメラル」

スプリング・エフェメラル(spring ephemeral) エフェメラルとは、「はかない・短命の・つかの間の」という語彙を持つ。 春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、 その後は翌春まで地中の地下茎で過ごす、スプリング・…